ずっと数学は苦手だった。しかし、なぜか文系の人を対象にした数学テーマの話には興味がある。
なかでも面白いのが「素数」の世界。素数とは、「1とその数自身でしか割り切れない2以上の自然数」のことで、2、3、5、7、11、13、17、19……と続いていく数字たちだ。
実は、すべての自然数はこの素数の掛け算で成り立っている。つまり、素数はすべての数字を形作る「原子」のような存在だ。素数は無限に存在するらしいのだが、その現れ方は一見してまったく規則性がない。連続して現れたかと思えば、しばらく全く現れないこともある。この「気まぐれな原子」の出現頻度に関する未解決問題が、数学者たちを悩ませている。規則性がありそうで、どうしても見つからない。そんな風に人類の最高峰の頭脳を何百年もはぐらかし続けている素数が、実は私たちのスマートフォンの通信や銀行のセキュリティを裏でじっと支えているというギャップにもロマンを感じる。
膨大な桁数の数を素因数分解するには、スーパーコンピュータでも気の遠くなるような時間がかかる。しかし、最近急速に開発が進んでいる量子コンピュータを使えば、近い将来、極めて短時間で解けてしまい、銀行の暗証番号なども破られるかもしれない。
量子コンピュータは、現代の汎用的な古典コンピュータと違って「何にでも使える」わけではないようだが、悪用されることなく、たとえば難病の治療に使われる新薬の開発や気候変動が地球環境に与える影響のシミュレーションなど、人々の役に立つ分野で活躍する未来を望みたいものだ。


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