以前、山梨県の北杜市にある「オオムラサキセンター」を訪ねたことがある。日本の国蝶であるオオムラサキ。
成長すると鮮やかな瑠璃色の羽を広げ、ひらひらと木々の間を舞う姿は、息をのむほどの美しさだ。
彼らはエノキの木がないと繁殖できないのだが、実は面白い話を聞いた。
私は、立派な大木のエノキが良いのだろうと思っていたのだが、実はあまりに大きな木だと葉っぱが固くなってしまい、小さな幼虫たちには噛み切れないのだそうだ。むしろ、人の手によって適度に伐採され、根元から新しく生えてくるような柔らかい若葉(ひこばえ)がある森こそが、オオムラサキの子育てには最適とのこと。里山の自然が大切と言われる理由が、ここにもあったのだ。
近隣の狭山丘陵では、オオムラサキを再び呼び込もうと、ボランティアの方々が熱心に活動されている。
私の住む東大和市の湖畔地区にも、エノキの木はたくさんあるので、いつかこの地でもオオムラサキが命を繋ぎ、あの美しい瑠璃色の羽ばたきに出会える日を、今から心ひそかに夢見ている。絵は山梨県北杜市から見える甲斐駒ヶ岳。


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