あの頃のこと③ 博多っ子純情

私の実家は福岡だが、市内でも南のほうなので地理的には博多っ子とは言えない。だが、博多弁満載のこの漫画「博多っ子純情」は大好きでよく読んだ。主人公は人形師の息子。博多の祭り、博多山笠に青春をかけていた。夢あり、ロマンスありで中学、高校の頃の話がメインだ。

高校2年で美術部に入った私だったが、文化祭で油彩画を出品することとは別に体育祭の応援合戦用の巨大な背景画を描く役割があった。応援合戦の席は白、赤、青、黄の4つあったので美術部のメンバーが4班に分かれ、それぞれのチームの背景画を担当する。チームごとにべニア板を縦4枚、横6枚の計24枚を体育館に並べて描いた。一つの絵が3.6mx10.8mくらいなので今考えるとかなり大きかったと思う。

まず何を描くかテーマを考えることから始める。できれば戦いを鼓舞するような勇ましいものがふさわしいし、すごく横長なのでずいぶん悩んだ末に私の担当は「白」は、映画「ベン・ハー」の映画の冒頭にある馬の疾走シーンの文字をWHITEにして模写することにした。

みんなの憧れ、美術部のマドンナは「赤」に配属された。彼女のチームのテーマは何と青木繁の「海の幸」。横長の男性裸像の一群が大きな魚を運ぶシーンだ。体育祭の背景画としてふさわしいかは別にして作品として描き甲斐のあるテーマなのでやられたと思った。

背景画は完成まで一か月ほどかかったと思うが、ネオカラーという缶入りのペンキをふんだんに使って描きまくった。近くからだと全体が見えないので体育館の屋根裏に登り、そこから屋根板をずらして見たものだ。あんまり根を詰めて描いたので肝心の運動会当日は体調を壊して出ることができなかったが、うまく飾られたことを後に聞いて嬉しかった。

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この記事を書いた人

生命感あふれる油彩画の制作をめざしています。

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