あの頃のこと② 石膏デッサン

ごく一般的には絵を描くには石膏デッサンは必須とされていた。もちろんモデルを使った人物画がいつでも描ける環境であればその必要はないが、普通はそんな理想的な環境にはない。

石膏像はギリシャやルネサンスの時期の有名な大理石像などをベースに作られていることが多い。本物の彫刻のような形の厳しさはないものの、それでも美しいと思う。石膏デッサンは木炭紙の上に木炭で描くことが多い。木炭は広い面積を一気に調子をつけるのに便利。消すときは指ではじいたり、食パンを少し指で丸めたものを使ったりする。お腹がすくとパンの耳を食べたりしていた。

石膏デッサンでは3次元の像を2次元の紙の上に見たままに再現することが求められる。石膏像の大きな動き(ムーブマン)をつかんだり、大きな明暗をつかんだり、最暗部から最も明るい部分につながる調子をつかんだり、石膏像の白さを表現したりと後に油彩画を描くにあたって必要な基礎がたっぷり入っている。モノクロなのでごまかしは効かない。退屈ではあるが欠かせない訓練の時だと思う。色彩画家と言われるマチスも素晴らしい石膏デッサンを描いている。

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生命感あふれる油彩画の制作をめざしています。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 初めての書き込みです。アート、芸術、絵画にまったく素人の思い(疑問)です。
    評価の高いデッサンはどんなものなんでしょうか?例えば10人のプロの方が評価すると限りなく10人に近い方から高評価を得るものがよいものなのでしょうか?写真に優るデッサンの仕上がりはあるのでしょうか?

    • 津吹さん、こんにちは。デッサンは基本、自分の勉強のためにするので作品というよりは修行の過程のようなものだと思います。もちろん驚くほど素晴らしい石膏デッサンはあります。マチスの石膏デッサンは本当に美しいです。石膏デッサンとは別にいわゆるデッサンとは、絵の骨格のようなものとも考えられます。ゴッホの絵は骨格がしっかりしていて揺るぎのないものですが、デッサンをたくさん勉強して短い期間にあの領域まで達したのですごいです。よい写真と良い絵の比較はもちろん可能ですが、絵画にしか表せない美しさがあると信じています。(#^^#)

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